肝斑とPIH 最新の治療概念について

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2017年4月18日



 

はじめに

色素異常は、美容外科・皮膚科の診察において非常に多く寄せられる相談です。シミのような色素の異常は、精神的にも苦痛を与えるものです。また色素異常は、ホルモンや日光への感受性の変化、自己免疫性疾患、薬の副作用など、全身状態のSOSとして現れていることもあります。

 

色素斑や色素沈着、色素脱落など、色素の異常に関する症状は、肌の色が黒いタイプの方にみられやすいといわれていますが、実際にはどのタイプの肌であっても患者さんの数は増えています。そしてこの原因として、専門外の医師や経験の浅い医師による治療を受けることで、皮膚の色調が変化してしまう可能性が指摘されています。

 

今回ご紹介するのは、患者さんの皮膚の色や色調を改善させることを目的に、肝斑と炎症性色素沈着(PIH)に関する最新の治療法に焦点を当てて行われた研究についてです。

紫外線(UV)照射によって刺激を受けたメラノサイトが過剰に活動してしまう

肝斑は、額や頬、顎など、顔のうち日光に曝された領域において、左右対称に分布される色素沈着を特徴としています。これは生まれつきのものではありません。原因はまだ明らかになっていませんが、紫外線(UV)照射によって刺激を受けたメラノサイトが過剰に活動してしまうということが、最も広く認識されている原因となっています。

紫外線照射は、チロシナーゼという物質を介して、メラノサイトからメラニンの形成を誘導します。この他、遺伝や薬の副作用、ホルモンや内分泌に関わる病気などによって、紫外線への感受性が影響を受けている可能性も指摘されています。

エストロゲンは、妊娠または経口避妊薬(ピル)の服用によって変動するホルモンですが、これはメラノサイト刺激ホルモンの放出を促進し、チロシナーゼを活性化させます。このため、肝斑の患者の大多数は女性ということになります。

肝斑の病変が生じている皮膚には、血管内皮増殖因子(VEGF)、幹細胞因子、活性酸素などが、通常よりも多く存在しています。これらは紫外線照射によって引き起こされるものですが、このように血管新生が刺激されることで、メラノサイトの活動量も増加します。この状態は、PIHでも見られます。

炎症性色素沈着(PIH)について

PIHは皮膚の疾患(乾癬、湿疹、ニキビなど)や外傷(ひっかき傷、火傷)、または化粧品などをきっかけに発症する色素異常です。生じる色素斑は不規則で、肝斑にみられるような対称性はなく、また日光の曝露を受けた位置と一致するとは限りません。肌の色が黒いタイプの方では、黒いメラニン色素の量が多いため、PIHになりやすいことが知られています。また、肝斑と違って、PIHには性別による差はありません。皮膚の色素沈着の状態は、検査によって区別することができ、これに基づいて治療法を考慮します。

色素沈着の治療は簡単なものではありません。PIHの場合、さまざまな治療法を差し置いて最も重要なのは「予防」です。PIHは、美白剤や脱色剤、抗炎症薬、レチノイドなどによって予防でき、また症状を軽減することができます。

一方、肝斑の予防は非常に困難です。肝斑の場合、皮膚のタイプ、家族歴、妊娠、内服薬などを考慮して、光防護、抗酸化薬、美白剤などを用いて適切なスキンケアを受けることが求められます。PIHは治療なしで自発的に解消することがありますが、肝斑ではそうはいかず、紫外線から皮膚を守りながら、美白剤や脱色剤などによる治療が必要です。

 

肝斑は、再発しやすさや治療法の少なさ、有効な予防法の是非など、議論が絶えない病気です。光防護や薬剤を用いた治療は、メラニン産生を抑えるために重要です。既に沈着しているメラニンであっても、治療によって除去することができます。

【参考出典】

http://www.skintherapyletter.com/2016/21.1/1.html