乾癬性関節炎患者と心血管疾患

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2017年4月16日

乾癬性関節炎患者さんの死亡原因1位となる心血管疾患

重度の乾癬性関節炎を患う患者さんは、高血圧や腹部肥満を含む心臓血管系の危険因子の集合体である内臓脂肪型肥満と、糖尿病の初期徴候であるインスリン抵抗性の両方を発症する危険性が非常に高いという研究結果が出ています。

・内臓脂肪型肥満とインスリン抵抗性は両方とも心臓発作や脳卒中のリスクを増加させ、心血管疾患は、乾癬性関節炎患者さんの死亡原因の第一位となっている

・乾癬性関節炎の慢性炎症が内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性といった病気の発症を促進する

調査は、283人の乾癬性関節炎患者さんを対象に行われ、内臓脂肪型肥満とインスリン抵抗性についての検査を実施しました。その結果、内臓脂肪型肥満と診断された患者さんの割合は44%、インスリン抵抗性と診断された患者さんの割合は16%となりました。

低悪性度の慢性炎症の原因となる内臓脂肪型肥満は、代表的な心血管危険因子5つののうちの高血圧、血糖値、トリグリセリドとコレステロール値の3つがあると診断され、男性の場合ウェスト85cm以上、女性の場合90cm以上の場合に該当します。インスリン抵抗性は、身体がホルモンインスリンを生成したものの効果的に使用出来ないときに起こります。

内臓脂肪型肥満の症状が診断された患者さんの割合は比較的高い傾向にありました。高血圧と診断された患者さんは74%、ウェスト周囲が適正値以上だった患者さんは56%、高トリグリセリドと診断された患者さんは43.5%でした。さらに、患者さんのうち半数は内臓脂肪型肥満の症状が4つ以上出ていると医師により診断されています。

乾癬および乾癬性関節炎の発症時期が遅い人、また皮膚の病変から乾癬性関節炎により早い段階で症状が進行した人は、いずれも内臓脂肪型肥満の症状とインスリン抵抗性を有していることがわかりました。喫煙者や重症乾癬性関節炎の方も同様の結果となっています。

 

 

今回の調査対象だった患者さんは、みなさん今回初めて内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性であるとの診断を受けました。

乾癬や乾癬性関節炎の患者さんの内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性の状態の検査は日常的な診察の一部でなければならないが、ほとんどの初期診療、皮膚科およびリウマチ学の診察はこういった面の検査がなされていないようです。

 

乾癬を治療し心臓発作の確率を下げる

乾癬または乾癬性関節炎を患っている場合、心血管疾患のリスクについては何度も見聞きしているかもしれません。ご存じのように、乾癬の症状を引き起こす全身性炎症は、心臓病の原因ともなります。しかし、乾癬を治療することにより心臓発作、脳卒中または他の心血管疾患のリスクを低減出来る可能性があります。

全身治療と心血管疾患リスクのレビュー

このレビューは、関節リウマチ、乾癬性関節炎または乾癬を患う患者さんにおける全身治療と心血管疾患との関連性の研究結果を分析しています。個々の研究結果に基づき分析を行い、全身治療がどのように心血管疾患リスクに影響するかを分析しました。この研究で分析された治療には、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)反応抑制生物製剤、メトトレキセートなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイドおよび非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を使った治療が含まれます。

全身治療の有効性

乾癬疾患の研究は余り実施されていないため、全身治療の効果をまとめて分析することしかできませんでしたが、乾癬または乾癬性関節炎の全身治療は、心血管疾患リスクの25%低下につながるという結果が出ています。

この結果は、心血管疾患に対する乾癬治療の効果を分析した研究と一致しています。昨年8月に発表された研究によると、TNF-α阻害薬を服用することにより乾癬患者さんの心臓発作のリスクが75%程度低減しました。また、昨年6月の別の研究では、腫瘍壊死因子アルファ阻害薬であるエンブレル(エタネルセプト)が心血管疾患リスクマーカーを減少させることもわかりました。

慢性関節リウマチを患う患者さんにおいては、腫瘍壊死因子アルファ阻害薬を服用することにより、心血管疾患のリスクが30%程度低下しました。また、メトトレキセートは28%のリスク減少と関連していました。

ステロイドの使用とリスク増加

一方、コルチコステロイドを使用しリウマチ関節炎を治療した結果、心血管疾患のリスクが47%増加するという結果が出ています。このリスクの増加は、コルチコステロイド服用に伴う体重増加および血圧上昇と関係していると考えられます。

渋谷セントラルクリニックDrコメント

乾癬や乾癬性関節炎の患者さんは、積極的に医師にリスクについて質問し、検査を依頼するべきだと考えます。 患者さんの教育は非常に重要であり、心血管リスクの評価と管理に最も効果的なツールとなりえます。そのためには乾癬と全身疾患の関係性について理解してもらうことが肝要です。

内臓脂肪型肥満やインスリン抵抗性の治療は、心血管疾患のリスクを低下させ、乾癬の症状を緩和する可能性もあります。

参考サイト

https://www.psoriasis.org/advance/cardiovascular-disease-the-leading-cause-of-death-for-psoriatic-arthritis

https://www.psoriasis.org/advance/want-to-reduce-your-risk-of-heart-attack-treat-your-psoriasis

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