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乾癬の治療 外用薬(OTC含む)

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この記事はアメリカなどの状況を含めて書いておりますので、必ずしも日本の現状を把握した記事ではありません。その点をご留意ください!

★外用薬で乾癬から身を守る

乾癬は、皮膚のわずかに盛り上がった紅斑(赤い斑)の上に、表皮の上層である角層がフケのような銀白色の鱗屑(りんせつ:雲母状の大小の角質片)ができ、ポロポロと剥がれ落ちる比較的よく見られる慢性の皮膚疾患です。乾癬の局所治療には、効果的なものが複数あり、細胞の過剰な産生を遅らせたり、正常化させたりすることで、乾癬の炎症を抑える作用を有しています。

局所治療薬には、一般用医薬品(OTC;Over-the-counter)として薬を取り扱っている店のレジカウンターで購入することができるものと、医師による処方箋が必要な局所治療薬があります。妊娠前と妊娠中には、乾癬の治療薬を使用する際に特に注意する必要があるため、妊娠中や授乳中は医師に安全かどうかを確認、相談することが大切です。

★乾癬の局所治療薬

OTC

(1)サリチル酸(米国食品医薬品局(FDA)によって認可されている)

(2)コールタール(FDAによって認可されていますが、日本では未認可)

(3)その他

 

処方箋が必要な外用薬

 非ステロイド

 (1)カルシポトリオール (ドボネックス® 軟膏):活性型ビタミンD3

 (2)カルシトリオール(ベクティカル®):活性型ビタミンD3

 (3)タザロテン(タゾラック®):ビタミンA

 (4)アンスラリン(ジスラノール–RRクリーム®)

 

 非ステロイドとステロイドの合剤

  タクロネックス® (カルシポトリオールとジプロピオン酸ベタメタゾン)

 

★サリチル酸

サリチル酸は角質軟化薬と呼ばれ、皮膚の角質を柔らかくし、溶かす作用があります。また、サリチル酸は角質層に存在する菌を除去する作用もあり、乾癬の他、角化症や苔癬、白癬などの皮膚真菌症、ニキビ、アトピー性皮膚炎など皮膚病に広く使用されている治療薬です。乾癬には、サリチル酸は乾癬の鱗屑を柔らかくし、剥離させる作用で効果を発揮します。サリチル酸の濃度が高い場合、長時間皮膚残り、痛みや炎症、かゆみが出ることがあります。また、サリチル酸を広範囲の皮膚に塗布する場合、カラダに吸収されるサリチル酸の量が多くなる可能性があります。サリチル酸は毛幹を弱め、毛幹がより壊れやすくなり、一時的に抜け毛になることがあります。

★コールタール

石炭や木(トショウやマツなど)に由来するタールは薬用目的で使われ、その中でもコールタールは乾癬の治療に最もよく使われます。タールは皮膚細胞の急激な成長を遅らせ、皮膚の状態を修復するのに役立ちます。また、コールタールは炎症やかゆみ、鱗屑を減らす手助けをしてくれます。タール製品はメーカーごとに異なりますが、一般的に、高濃度のタールを含む製品ほど、より効果があります。しかし、タールは痛みや赤み、皮膚の乾燥を引き起こすことがあるため、タール製品を初めて使用する際は、まずは狭い範囲で試してみて下さい。もし赤みが現れる場合は、保湿剤の上からタールを塗布する方法を試して下さい。また、タールは衣類やベッドシーツ、明るい色の髪を染める可能性があります。タールは光線過敏性(皮膚を太陽光に対してより敏感にさせる)があるため、タールを完全に落としてから日焼け止めクリームを使い、日焼けに注意しましょう。タールは最低でも24時間は、皮膚で作用するので、その間は日焼けのリスクが増加しているので、注意が必要です。

 

★タールはがんのリスクがある!?

研究報告によると、工場の舗装に使われるような高濃度を使用する場合、タールに含まれる化学物質ががんを引き起こすかもしれないことが明らかになっています。タールを定期的に使用している人たちは、定期的な皮膚がんの検診を受けるべきでしょう。米国のカリフォルニア州では、0.5%以上のコールタールを含むOTCのシャンプーやローション、クリームにがんの危険性のラベルを付けることを求められています。しかし、FDAは0.5%から5%のコールタールの濃度を含むOTCは安全で、乾癬に対して効果的で、タールを含むOTCが発がんを引きおこす科学的な証拠はないと主張しています。

 

★その他のOTC

サリチル酸やコールを含まないものでも、乾癬の治療に有効なものがあります。例えば、アロエやホホバ油、亜鉛ピリチオン、カプサイシンなどの成分を含む外用薬は、潤いを与えたり、和らげたり、鱗屑を除去したり、かゆみを抑えたりするのに、しばしば使用されています。天然の成分でも副作用やアレルギー反応を起こすこともありますので、かゆみなどの症状が出たら、使用を中止して下さい。

★ステロイド

ステロイドは炎症反応の制御を含め、多くの重要な機能を持っています。ステロイドの外用は、抗炎症薬として、病変部の腫れや赤みを改善するのに用いられています。ステロイドは、とても強い(クラス1)からとても弱い(クラス7)まで幅があります。

ステロイドを使う際は以下のことに気をつけて下さい。
(1)ステロイドを使用する際は、皮膚の病変がある部位のみに少量使用する。

(2)3週間以上医師の診察なく、ステロイドの外用薬を使用しない。

(3)乾癬の悪化の原因となるので、ステロイドの外用薬の急な中断は控える。

(4)白内障や緑内障を引き起こしうるので、ステロイドを目の周りや目の中に使用しない。

(5)より強力なステロイドほど、乾癬により効果がありますが、副作用のリスクもより高くなります。

(6)弱いステロイドは顔や太もものつけ根、胸部の治療に向いています。皮膚の敏感な部分では、副作用の危険性があることを考慮しなければなりません。

★非ステロイド治療薬:カルシポトリオール (ドボネックス®)

カルシポトリオールは活性型ビタミンD3で、皮膚細胞の成長を遅らせ、盛り上がった病変を平らにし、鱗屑を除去します。カルシポトリオールは他にも頭皮や爪の乾癬の治療のためにも使われます。カルシポトリオールの最もよくある副作用は皮膚のかゆみ、チクチクした痛み、ヒリヒリした痛みです。稀に見られる副作用として、皮膚が乾燥したり、むけたり、乾癬が悪化したり、発疹や皮膚炎が出たりすることがあります。全身性の副作用で重要なのは、高カルシウム血症です。

 

★非ステロイド治療薬:カルシトリオール(ベクティカル®)

カルシトリオールは活性型ビタミンD3で、皮膚細胞の過度な産生を制御することが報告されています。カルシトリオールは顔や唇、目を除くほとんどの部位に使用できます。最もよくある副作用は、高カルシウム血症、皮膚の不快感、かゆみです。また、光線過敏性があるため、皮膚がんの確率が高くなります。他にもカルシトリオールは、その他のビタミンD化合物と比較して、高カルシウム血症のリスクが高いと言われています。飲み合わせによっては、血清カルシウム値が上昇し、高カルシウム血症が現れやすくなりますので、医師に相談して下さい。血清カルシウムの量が正常に戻るまで治療は中止が必要です。

 

★非ステロイド治療薬:タザロテン(タゾラック®)

タザロテンはビタミンA誘導体で、レチノイドの外用は、皮膚の細胞増殖を遅らせる作用があります。治療を開始すると赤みが現れ、この赤みは時に強烈な赤色のことがありますが、通常痛みは伴いません。よくある副作用としては、皮膚の刺激感、乾燥、日焼けをしやすいことが挙げられます。治療中は日焼け止めを塗り、日焼けしないようにしてください。不快感、ヒリヒリした痛み、かゆみ、チクチクした痛みなどが出る場合には、医師に相談してください。

 

★非ステロイド治療薬:アンスラリン(ジスラノール–RRクリーム®)

 

アンスラリンはクリサロビンの合成代替物で、乾癬の皮膚細胞の過度な成長を遅らせる作用があります。ジスラノール–RRクリーム®は2009年にFDAに認可されました。乾癬がコントロールされるまでにステロイドと比べて時間がかかり、通常数週間かかりますが、使用を止めた際のリバウンド症状が起きにくい薬剤です。最もよくある副作用は、皮膚の赤み、不快感、色素沈着で、稀な副作用として発疹があります。また、一時的に髪や爪が変色することがあるので、使用する際には気をつけてください。

 

★カルシポトリオールとジプロピオン酸ベタメタゾン(タクロネックス®)

 

ステロイドであるジプロピオン酸ベタメタゾンと非ステロイドであるカルシポトリオールの組み合わせは、皮膚の細胞の成長を遅め、病変を平らにし、鱗屑を除去し、かゆみや炎症を緩和します。タクロネックスを、顔、脇の下、腿のつけ根、皮膚が重なる部分などの敏感な部分には、使用しないで下さい。よくある副作用として、かゆみや発疹、皮膚の菲薄化、ヒリヒリした痛みがあります。稀に見られる副作用として皮膚の赤み、毛包炎、皮膚の炎症、乾癬の悪化、皮膚の色の変化、塗布部位の血管の拡張などがあります。

【渋谷セントラルクリニックDrコメント】

乾癬は治らない病気だと言われています。しかしUCLAヘン教授は自身が開発したクルクミンジェルとライフスタイルを組み合わせた治療で数か月間で70%異常の驚異的な治療成績を上げています。その理由は少し専門的ではありますがPhKを阻害することにあります。炎症性サイトカインを産み出さないようにするライフスタイルに加えて皮膚細菌のコントロールとクルクミンジェルを用いた治療は数多くの患者さんを救っています。

 

〈参考文献〉

https://www.psoriasis.org/about-psoriasis/treatments/topicals

 

https://www.psoriasis.org/about-psoriasis/treatments/topicals/over-the-counter

 

https://www.psoriasis.org/about-psoriasis/treatments/topicals/non-steroid

 

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