酒さとボトックス

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2017年3月16日

酒さは日本ではよく知られていませんが、アメリカでは1600万人もの患者がいるとされる一般的な疾患です。酒さは赤ら顔や大人ニキビと診断されていて酒さとは気が付かれていないことがあります。またニキビ跡が残ることもあるため症状に悩む女性も少なくありません。そのため適切な治療をすることによって後遺症を残さないようにすることが重要です。

酒さの臨床診断を正確に行うことは思いのほか難しいのですが、典型的なケースでは数カ月以上続く顔の中央部の赤ら顔(紅斑)です。また火照り、大人ニキビ(丘疹、膿胞)、毛細血管拡張も特徴的な所見です。

 

現在、酒さの治療において特効薬は存在していませんが、症状をコントロールする方法はあります。

  • 気候、ストレス、刺激のある食べ物、アルコール、刺激的な化粧品など、その引き金となるものを知り、それを避けるようにします。
  • フォトフェイシャルで知られる光線療法(IPL)やレーザー治療も良く治療に用いられています。
  • 効果的な皮膚ケア製品もあります。当院ではクルクミンを用いた化粧品(オムニキュア)を用いて抗炎症作用、毛細血管の拡張に対して良い結果を残しています。

そして、もうひとつ、新しい酒さの治療オプションとして上がってきたのがボトックスです。皮膚科学会誌で発表された研究では、ボトックス注射が酒さに特徴的な赤ら顔の治療に効果的という投稿がなされました。

ボトックス、いわゆるボツリヌス毒素は、世界中で、しわを軽減するための方法として今や最も人気のある治療方法ですが、美容以外の医学的疾患への治療適応は、歴史をさらに遡ります。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、1989年に初めて斜視に対して使用を承認し、その後すぐに頸部ジストニーに対して承認、それ以来新たに6つの疾患へ適応を承認しました。

興味深いことに新しくボトックス治療の適応となった片頭痛、多汗症などの疾患の多くが、認可済みの症状への治療をしている中で偶然発見されました。医師は診療をしている過程でボツリヌスを使用している際にしわの減少だけではなく肌質の変化があることに気づいたからです。その一つがボトックスを使用した部位ではニキビや膿胞の減少が生じるということです。そして、いわゆるニキビ(尋常性ざ瘡患者)の炎症が減少したことに気づいたことで、ボツリヌス毒素を酒さに関連する症状を緩和するための治験が始まりました。

調査では、2年間にわたって、酒さの症状がある患者13名を対象に、100ユニットにつき7ccの生理食塩水で希釈したボトックスを病巣内にごく少量(0.05cc)の注射をしました。

症状がある頬の皮内に、平均8ユニットから12ユニットのボトックス注射を複数回投与しました。一週間以内に、ほてり、赤み、炎症の減少が見られ、3ヵ月間継続しました。酒さに初めてボツリヌス毒素を使用した際には、酒さ治療の選択肢であったIPL治療の補助剤として使用しました。しかし、ボツリヌス毒素の効果が3ヵ月間で非常に十分なものであったため、IPL治療の継続の必要がなくなりました。

また、被験者全員が、頬の筋肉に何の脱力感や弛緩を感じなかったと述べました。それは、しわの治療の場合にはボトックスを皮下、または筋肉内と皮膚の深部に注射するのに対して、酒さの場合は皮内に注射するためです。

ボトックスが酒さに作用する機序としては毒素が血管の拡張力に作用することによって皮膚への血流の上昇をゆっくりとさせ、赤みを静めるのではないかとされます。そして、皮膚科医の酒さが発症してから早く治療を開始した患者の方が治療の結果が良いということが分かりました。そういった意味では酒さに対するボトックス注射は画期的な治療で、一回の注射で3-4カ月間ほてりが減った患者もおり、塗り薬のみのではありえないタイムスパンと結論付けています。

ただし、酒さのサブタイプを知ってから治療を行うことが重要です。この研究ではボトックス治療はほてり以外の症状がある酒さにはあまり効果がないこともあるとしています。また4カ月ごとにボトックス注射を受けることには費用が高額になってしまうという問題もあります。酒さを患っている患者でボトックス治療の最良の適応となるのは酒さで赤ら顔やほてりがあり、内服や塗布剤などの内科的な治療で十分効果がなかった患者であると言えます。

ボトックスはしわの軽減以外にも多く使用されており、ボトックスが酒さの治療に対してFDAの承認を得るためには、より多くの試験が必要です。ボトックスについては、二重盲検、無作為化、プラセボ 対照試験もまもなく実施される予定です。

参考サイト
http://jddonline.com/articles/dermatology/S1545961612E0076X
http://www.westlakedermatology.com/blog/botox-for-rosacea-symptoms

http://www.refinery29.com/2016/12/132693/rosacea-botox-fix

 

 

 

 

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